2016年11月13日日曜日

Mission, Vision, Value, and Talent Management

1ヶ月程前に、グローバル経営に関する研究をする会合に参加させてもらった。

その回のテーマは、「Talent Management」
企業の成長力や競争力の源泉はやはりヒトで、そのポテンシャルを企業として最大限に引き出すことが大事だから経営の仕組み自体にどう組み込むかがポイント。実践していると自称する企業でも、実は「Succession Management」であり似て非なるものであったり、幹部候補の早期選抜であって実践範囲が一部に留まるなど、取り組みに濃淡もある。

先進事例はGEやIBM。
キャリアは自分自身が責任を持ち、企業側はそれを尊重し速く大きく成長したいと考える社員には、ギリギリ達成できるかどうかのストレッチした機会を与える。マネージャの責務として部下の成長があり評価項目になっている。成長を希望するのに18ヶ月以上現職にいる部下がいると、キャリア開発を怠っているのではないかと人事部がマネージャに確認を求める。だからマネージャは部下が成長できそうなポジションに空きがあるかどうか常にアンテナを張っているし、空きが出るとそのポジションの責任者に部下が適任だと売り込むらしい。

そもそも人事部には個々の社員の人事異動や評価昇進は職務範囲外であるし、転居を伴う異動や赴任は本人の同意なくして成立しないという雇用常識が根底にある。そして、最も重要なのは、自社のミッションとビジョンをしっかりと定め、それを実現していくにあたり大事にしたい価値観はどんなものなのかを明確にしておくことだと言う。それに合致した人だけを雇用するし、そこのミスマッチは他の社員にも悪影響だし、そもそも社員のキャリア開発には、そのミッション、ビジョン、バリューと合っているからこそ会社は支援しうると考えている。

確かに、この企業は世の中どう良くしたいのか、そのためにはどんなことに重きを置くのかといった与件の中で、自分はこの環境を活かしてどう成長させたいのか?と考えていかないと、単に報酬や昇進や待遇などの内向きで受け身な雰囲気になってしまうかもしれない。

さて、自社を振り返り、掲げられているミッション、ビジョン、バリューは、腹の底から信じられる使命、実現したい未来、常に自身の行動の拠り所となる価値観だろうか? これが、志を同じくするメンバーで集い立ち向かっていくということなのだろう。

2016年10月22日土曜日

会社を立て直す仕事

海外現地法人を親会社の立場から管理する仕事に就いてから、改めて経営改革を考えることが多くなった。いくら親会社の庇護の下とはいっても、当該国では一法人であり課題は山積していることが多い。商品は親会社から供給されるとしても、そもそもそれを当該国市場で受容されるようにするためには様々な工夫が必要だ。ただし目の前の売り上げを作ることばかりに拘泥していると、会社組織としては未整備のまま。時限爆弾のように問題はいつか爆発する。



本書はターンアラウンドマネージャという不振企業の再建を請け負う役割の仕事がどういうものなのかを俯瞰するのにわかりやすい。どのようなフレームワークで問題を構造化し布石を打つのか。どのようなアプローチで解決にあたるのか。

フレームワーク自体はシンプルであるが、その不振企業の実力を見極めながら打ち手を調整していくあたりにこそ本質があるのだろう。ここは経験なり人を見る力が重要であり、彼らを改革に向かわせる人間力と、それを組織の力として定着化させる仕組みづくりが腕の見せ所のようだ。


以下は気になった点のメモ:
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・ 課題解決ガバナンス=優れた企業になるための質の高い課題解決

・確実な利益成長のアプローチ=Shrink-to-Grow

・変革成功の4条件
 -危機感⇒変革のWhy
   =立場や部門の壁を超えて、「変わらなければならない」あるいは、「これを何とかしなければ」という変革意識
 -目標・方向感⇒変革のWhat
   =目指す姿などの抽象的な方向性や具体的な目標
 -担い手⇒人に関するHow
   =変革の牽引者としてのリーダーシップを取る人材あるいはグループ
 -一貫した打ち手⇒打ち手のHow
   =業績と体質の同時改善を実施することを視野に入れた、系統だった変革施策

・変革のリーダーとしての要件
 - 体質改善に向けた打ち手のバランスとスピード感に対する理解
 -「精緻な変革プログラム設計力」と「大胆かつ、一貫性のある実行力」
 -高い目線
 -人に対する意味ある忍耐力
 -株主との緊張感のある協調・協力関係への理解・働きかけ
 -「何とかする」前向きな姿勢

・ターンアラウンド・マネジャの役割
 -変革の設計者=Architect
 -変革の実行者=Executor
 -翻訳者=Translator
 -基準設定者=Standard Setter

・企業変革の診断
 1)業務改善タスク=業績目標とそこに至るための改善レバーはいかなるものか?
 2)変革のリーダーシップ=変革のリーダーシップ(グループ)の目線、能力、スタイル、制約条件はいかなるものか?
 3)変革のエネルギー=変革を推進しうるエネルギーをどこに求め、どう使うか?

・設計すべき変革プログラム
 1)変革マネジメント=変革成功の4条件をどう満たすか?
 2)変革メカニズム=リーダーのスタイル、能力および、課題の性質を踏まえ、どんな構造・体制のイニシアティブとするか?
 3)変革の具体策=業績と体質の改善に向け、具体的に何をいつ実施するか?

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2015年7月15日水曜日

「課長」から始める 社内政治の教科書



書生のように理想を声高に叫ぶだけでは何も成しえない。人が3人いれば政治は始まる。誰しも自分に有利な状況を作りたがり徒党を組む。大義があればこそ、それをどうやって実現するのか、そのための術をもつことは生き残る上では重要。それに失敗してしまった自分がここから再起できるか、改めて振り返ってみようと思う。



以下は、気になった点のメモ:
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・政治力=自分や相手の立場をうまく利用して巧みに物事を進めていく力

・社内政治=現実であり、課長にとって最重要の仕事であり、影響力のゲームである

・影響力=信頼関係、実績、専門知識によって生み出され、自己増殖性がある。

・社内政治の鉄則=味方を増やして敵を作らない。長期戦なので信頼を貯金した者が優位に立つ

・味方を増やすためには、あらゆる機会を捉えて「自分に対する重要感」を与えること。そのためには、相手の話に耳を傾け、気にかけているという姿勢を示す

・私心を大義に磨き上げる

・できるだけ議論を避け、相手が本人の意思で自分の意見に賛同するよう仕向ける。そのためには、相手の自尊心をくすぐり、優越感を与えつつ、気持ちよく話してもらい、準備していた論理に沿うように誘導していく

・社内の部門間の情報の壁から生じる情報格差を活かし、情報を掛け合わせて社内動向を察知する

・社内のパワーバランスを把握し、立場の弱い人を味方につけ、部下には安易に同調せず現実的対応をし、競わせながら、公平にえこひいきする

・部下の昇格は課長の最重要課題。1年前から準備をはじめ、人事権者へさりげなくPRする

・上司に対しては、好き嫌いを捨てプロに徹する。上司が求めていることを知り、全体最適の中での自組織の主張をし、上司の仕事のやり方に合わせる

・派閥とは等距離外交を心掛けて中立的立場をとる。そのためには、ビジネスマンとしての「誠実さ」を言動の基軸に据える

・政治に勝とうが負けようが人生においては大した問題ではない。何を成し遂げたいと思っているのか?どのような生き方をしたいのか?その「思い」が本物であるかどうかが大事