かなりストレートで刺激的なタイトルである。数多くの経営者から取締役に必要な資質、心構えなどを取材し、まとめている。特にタイトルどおり、中間管理職との違いを鮮明にしようとする文体はわかりやすかった。
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以下は気になった点のメモ
・経営感覚を持て、経営者として考え行動しろ、といい「全員経営」を標榜する企業もあるが、部下もいなければカネもなくはたまた権限もない社員が「経営者」だと言われてもそれは絵に描いた餅のようなものだ。
・サラリーマンは上に行けば行くほど、組織を使って大きな仕事ができる。平より課長、課長より部長、部長より取締役、平取締役より常務や専務、そして社長という具合に、上に行けば行くほど権限が大きくなり、自分の意思でできる仕事の規模、内容もグレードアップする。従って仕事を達成したときの喜びも大きく
なる。
・組織というのは高層ビルと同じ。上に行けば行くほど見える範囲が広がって最上階では富士山までよく見える。視野が広がれば、そのぶん大きな仕事もしたくなる。
・取締役の分類
1.将来、社長になり得る人
2.社長にはなれなくとも、会長、社長を補佐し、経営の一翼を担える人
3.それまでの功績に報いる「論功行賞」型の人
・どうせ仕事をするなら大きなことをしたい。そのためにはトップに立つしかない。
・肩書だけを欲しがるから、平気で他人を蹴落としたりする。そして肩書を得た後は責任を逃れることが目的になってしまう。
・取締役になろうと思えば「30歳代」が本格的なスタートライン。30代でいい評価を受けなかったものが40代になっていい評価を受けるはずがない。
・”実績”という肩書をつくりなさい。
・新しい仕事を生み出してこそ評価される。日々の仕事の中で、つねに「自分はこうしたい」「将来こうありたい」という夢をもち、新しいことを始めることが大事
・いくら優秀でも、全体を考えずに自分勝手に走っては決して勝てない。時には敢えて脇役に徹する判断が必要だ。
・運というものは、使えば使うほど増えていく。
・悪い上司をあげつらう前に、自分自身が悪い部下になっていないか、よく考え直してみる必要があるだろう。
・目上への態度には気をつけなさい。知に溺れてはダメだ。常に上司への敬意を忘れてはいけない。どこか傲慢な気持ちが表れては、よい関係は望めない。
・心から仕事の達成を願うなら、むしろ上司に手柄を譲るくらいでいい。みんな誰の手柄かわかっているし、本来、仕事の目的は手柄ではない。自分の能力をフルに示せた達成感があれば十分ではないか。
・自分の手柄をアピールしたがる人間は、横取りする上司と同じレベル。鼻持ちならないイヤなヤツになって、人の信頼を得られません。いざというとき誰も助けてくれないでしょう。
・上司の操縦法
1.上司が自慢に思っていることは褒める
2.上司が行動を躊躇っているときには大義名分を与えて自信を持たせる
3.上司がやりたくないことをやらずに気にしているときには「やりたくないこと」が間違っていることを指摘してやる
4.自分に自信を持っている上司に対して、その能力にケチをつけてはいけない
5.諫言するときはそれが上司の利益にならないということをほのめかし、直接やめろといってはいけない。
6.自分の能力に自信を持っている上司に進言するときは、別の話を持ち出してそれとなく知恵をつける
・上司ひとりをうまく操縦できないで、どうして多くの部下たちを動かすことができるのだろうか。
・何かのとき、失敗を恐れて手を挙げないようではダメだ。
・何もやらなければ何も生み出さずマンネリ化して、そんな社員は実力もつかない。
・最も困るのは、その仕事がなぜできないかだけは見事に理屈づけて説明するようなタイプ。
・カルロスゴーンのリーダーの条件
1.戦略マインド
2.業績主義
3.透明性
・町田勝彦(シャープ社長)の3つの条件
1.予見力
2.構想力
3.実行力
・高原慶一郎(ユにチャーム社長)の挙げる条件
1.目標思考力(ビジョンを持つ)
2.方法発見力(戦略・戦術)
3.組織能力
4.伝達能力
5.動機付け能力
6.育成能力
7.自己革新能力
・五十嵐勇二(マルハ社長)の挙げる条件
1.問題意識を持てる人間
2.創意工夫のできる人間
3.意欲的に取り組む人間
そして、常に前向きでアグレッシブに、逆境もバネにし、日ごろから勉強を怠らない人間であることを後半では様々な事例を挙げ述べている。