2005年4月19日火曜日

問題解決ファシリテーター

個々の技法については、それぞれ聞いたことのあるものばかり。断片的には実践している。経験的に効果があると感触を得ているものもある。

柔らかなリーダーシップ
これがよく表わされている言葉だと思う。

具体的には
 ・共鳴によるアプローチ
 ・自律的な力に働きかける
 ・納得し了解させ、望ましい行動を引き出していく
ということだ。

いかにメンバのやる気を引き出すか。これに尽きるのだろう。
本書では、ポイントとして以下を掲げている。

○改革を成功に導くアプローチ
 ・現状への不安をあおり、このままでは通用しないことに気づかせる
 ・改革へのメリットを理解させ、改革への安心感を与える
 ・チームの力で選択的近くを打破する
 ・内なる改革心を目覚めさせる

○チームのやる気を引き出すポイント

 ・自ら改革にコミット
   プロジェクト活動を論理的かつ冷静に運営しながらも改革への熱い情熱でメンバーへ働きかけを行う「Cool Logic & Warm Heart」をモットーとする

 ・コミットメント
   仕事への関心と愛着を呼び起こし、問題の重要性を判断するだけの知識と材料を与え、当事者意識を持つための場や時間を与え、「自分がやるしかない」と腹をくくらせる

 ・信頼感と連帯感
   支持的なコミュニケーションと協働作業を通じ、「言い出しっぺが損をする」「正直者が馬鹿を見る」雰囲気を一掃させる

 ・フィードバック
   活動の手応えを感じさせるため、
   ・自分が学習し成長しているという達成感
   ・他者からの承認や分かり合える喜び
   ・改革への関与による自己有能感
   といった精神的な報酬を感じさせる




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以下は気になった点のメモ

○ファシリテーターの役割
  組織のパワーを最大限に引き出し、高度な問題解決に導く。
  意見ではなくプロセスをコントロールすることによって、組織の意志決定の質を上げる。
  そして、メンバーに学習を促し、組織の成長を促していく。
  あらゆる問題解決に欠かせないコミュニケーションの技術を持った人である。

○組織の3要素
 ・共通目的
 ・貢献意欲
 ・コミュニケーション

○ファシリテーターに求められる知識とスキル
 ・プロセス・デザイン(システム思考+MECE思考)
 ・プロセス・マネジメント
 ・コンフリクト・マネジメント

○プロセス・デザインに欠かせない5つの要素
 ・目的(狙い)
   与えられた目的をチーム全員で咀嚼し、解釈の違いを排し、チームに浸透

 ・アウトプット・イメージ
   チームに与えられたも空表を具体的なイメージが沸くようにブレイクダウン

 ・活動プロセスとスケジュール
   どんな情報(インプット)を基に、どのようなやり方(処理)で、
   何を生み出していくか(アウトプット)

 ・役割分担
   誰がファシリテーターを担うか

 ・行動規範
   メンバーが持つべき共通の価値観

○問題解決プロセス
  発散思考→収束思考
  を2回まわす

○デザイン上の留意点
 ・システム的なプロセス設計
   インプットとアウトプットを明確にする

 ・メリハリのある検討プロセス
   「問題の発見」ステップにたっぷり時間をかける
   (注力すべきところと軽く流すところと、メリハリをつける)

 ・チーム全体でプロセスを体感する
   複数の人間がな時時間と空間を共有してこそ
   チーム活動のダイナミズムが発揮され、チームワークも生まれてくる

 感情、権威、序列、地位の力などを排除して、事実、論理、原理、ルールなどの原則に基づい民主的な議論によって問題解決をあたることが重要。

○MECE思考とシステム思考
 ・考えに適切な枠組みを提示し、創造力をフルに引き出す
 ・ロジカルコミュニケーションを用いて、メンバーの論理の乱れを正し、足らない部分は補わせ、誤解や勘違いによって議論が誤った方向に行かないよう、常に気を配る

  つまり、
   ・事実を共有化させる
   ・根拠の乱れを正す
   ・意見を明確にさせる
   ・論理で伝えきれない知識(暗黙知)を伝えあう
   ・復唱を使って主張の内容を確認する

○コンフリクトマネジメント
 1.コンテクストを共有して相互理解を深める
   ・一致点を対立点を区分けする
   ・対立の原因を明らかにする
   ・コンテクストの違いがコンフリクトを生む
   ・コンテクストの3つのPを用いて解消のヒントを得る
    -Purpose(目的:より高い目的から見る)
    -Perspective(視点:より広い視点から見る)
    -Position(立場:第三者の立場から見る)
   ・コンテクストを統合する(連結ピンとなる)

 2.Win-Winアプローチで対立を協働に変える
   ・創造によるコンフリクトの解消
    -本質を見極める力
    -柔軟な思考
    -協調的な関係
   ・交換によるコンフリクトの解消(ギブテク)
   ・分配によるコンフリクトの解消(妥協)
   ・支持的コミュニケーションで協調関係を築く
   ・満足度の高い意志決定を行う

○手法
 ・ワークショップ
   多様な人たちが主体的に参加し、
   チームの相互作用を通じて
   新しい創造と学習を生み出す

 ・オフサイトミーティング
   職場を離れて気軽に真面目な話をする
   -形式張らずに気楽な雰囲気をつくる
   -結論を出すことをノルマとしない
   -人の話をまず「聞く」という姿勢を持つ
   -立場を離れる努力をする
   -相手にレッテルを張ったままにしない
   -正しいことを言い過ぎない
   -相手をやっつけ過ぎない
   -自分の弱みを素直に見せる

 ・ワークアウト

○ファシリテーション・グラフィック
 ・議論をビジュアルに整理
  -議論を編集して分かりやすく提示する
  -議論のポイントに集中させる
  -発言を定着させて安心を与える
  -議論に広がりを与える
  -共通の記録として残す