単なる管理者でなく、経営者とはどうあるべきか、最近興味を抱き、何冊か手に取っている。本書では、経営コンサルタントらしく、できるだけ要素分解し解説しており、体系的に理解しやすい。経営スキルとは天賦の才ではなく後天的に身に付けられるもの、という主張が根底にある。そして問題意識は、経営者不要の高度経済成長から、真の経営者が求められる時代になったにもかかわらず、それを担える人材が決定的に不足していることであるようだ。
いわゆるMBAカリキュラムで学ぶようなハードスキルだけでなく、ソフトスキルを重要視しているのは感覚的にも納得がいく内容。もちろん両方とも必要で高次元でのバランスが求められているのは間違いない。仕える上司への違和感を抱く時、このソフトスキルの不足である場合が多い。
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以下は気になった点のメモ
○経営者が実行すべきこと
1.自社の置かれている市場環境を正しく認識する
2.目標を決める
3.目標と現状のギャップを正確に認識する
4.ギャップを埋めて、目標を達成するための戦略・実行プランを立案する
5.社員に対して、目標、戦略・実行プラン、なぜそれをやり遂げなければならないのかを正しく伝え、目標達成に向けモチベートする(動機づける)
6.組織として、戦略・実行プランを実行する
7.プランの進捗状況・結果をモニターする
8.結果を解析し、必要に応じて軌道修正する
○経営者のスキルセット
・科学系スキル(足し算の能力=積み重ねられる)
-マネジメント知識
-ロジカル・シンキング
・アート系スキル(掛け算の能力=全てを備えなければ無意味)
[ベースとしての必要要件]
-強烈な意志
・事業において何が何でも結果を出すという意志
・源泉:高い志と責任感
[個人として結果を出す]
-勇気
・トレードオフを理解した上で、どちらかを捨てる勇気
・不完全な情報下でも必要なタイミングで決断する勇気
・やめる勇気、変える勇気
・必要ならば情を捨てて人を切る勇気
(そのためには、メンタルタフネス、リスク管理、無私な倫理感が不可欠)
-インサイト
・経営者にとって必須の頭脳型スキル(洞察力、発想、ひらめき)
・事業の本質を見抜き、経営課題を見る視点を変化させる
・日頃のクセで習得可能
-一歩引いて本質を見る
-二極性で発想する
-自分が「何にはまっているか」を客観視し、あえて反対側/外側に振ってみる
-定石は必ず壊して進化させる
-他人の頭を使う
-しつこさ
・考えるしつこさ(インサイトの源泉、他人の意見にも謙虚に耳を傾ける)
・実行するしつこさ(地味に実行し、長く継続する)
[組織として結果を出す]
-ソフトな統率力
・夢を掲げ、共有し、人間的魅力を持つ
○スキル習得法
・習得プロセスを構築し、習慣化する
・体験を通じて習得する
○スキルセットの使い分け
・経営環境に応じて、経営者として演じることが必要な役回りを演じ徹する
-戦略型
-人材型
-競合優位型
-フレーム型
-変革型