2014年8月24日日曜日

アメーバ経営が会社を変える



アメーバ経営について、もう少し理解を深めるためにもう1冊手に取ってみた。

共通経費や本社経費も配賦することで、それぞれのアメーバはそのコスト変化に敏感になり牽制が働くというのは興味深い。また収入がほとんどない開発部門にも時間あたり採算制度を導入し、製造部門や営業部門と同様に結果を開示することで、自分たちが赤字を垂れ流し迷惑をかけていることを認識させ、一日も早く事業化するプレッシャーにしているという。

この時間当たり採算制度は、アメーバの大小に関わらず貢献度という点では横並びで比較できるので社内でのゲーム感覚での競争意識が現れるという。また平均賃率と比較することで自分たちが生産性高く稼げているのかどうかも明確になる。

京セラグループ以外への導入事例では、多少アレンジしているところもあった。基本的に月次での決算なので購入品はその時点で費用計上するのが基本ルールだが、数か月のサイクルタイムを持つ製品の場合、月別で見ると凸凹してしまい言い訳の温床にもなりやすいので、工程別ではなく機種別アメーバとし、仕掛品勘定も導入して、売上計上月に費用も一括計上することにより採算性を測れるようにしたとのこと。



以下は気になった点のメモ:
-----
・アメーバ経営、とくに時間当たり採算の指標は、
 基本的には管理スタッフや経営者によるコントロールのためだけのものではなく、
 現場の人々の知恵を結集するためのものでもある。
 あくまでも基本は、全員参加の経営であり、エンパワーメントのための経営手法である。

・アメーバ経営の5つの目的
 1)全員参加の経営を実現する
 2)採算で貢献度を測り、目標意識を持たせる
 3)よく見える経営を実現する
 4)トップダウンとボトムアップを調和させる
 5)リーダーを育成する

・製造現場にマーケットを持ち込む
  -値段はお客様が決める
  -利益は製造側で生まれる
  -マーケットを意識させる
  -営業へのプレッシャー
  -営業と製造の対話
  -アメーバが売買する

・値決めは経営
  -アメーバはミニプロフィットセンター
  -リーダーの意思で値決めをする
  -値決めに経営センスが現れる
  -経営の差が成果に出る
  -一品一品で採算を見る
  -アメーバ間で受注競争
  -納得して値決めをする
  -両方を突いて合意する
  -外の会社と共競争する

・アメーバ経営を支える基本的な条件
 1)企業内部の信頼関係
 2)数字へのこだわり
 3)経営数字を速やかに現場へ知らせること
 4)アメーバの編成が仕事の特性(とくに仕事の流れ)にうまく合致しているかを
  継続的に点検すること

-----


2014年8月11日月曜日

アメーバ経営



自分自身がプロフィットセンターのひとつを預かるようになり、またその中にも細分化することでどこに創意工夫の余地があるか定量的に把握できるかもしれないと考えていたところ、このアメーバが目に留まった。ちょうどJAL再生もこの手法で全員経営の意識を高めたとか。当然、創造性を発揮することが最も重要なのではあるが、KPIというか自分の頑張りや改善の度合いが数値で表された方が分かりやすいし、計器を見ながら操縦するという環境をつくることも重要だと感じ始めている。

このアメーバ経営は小集団に分け独立採算とし、社内の各工程でも社内売買するという。その値決めもお互いに協議・交渉して決めるという。そんなことをしたら、まとまらないのでは?と思ったが、やはり個別最適になりがちのようで、そこを全体最適とするため、経営理念やフィロソフィー、自分を律する姿勢を繰り返し説かれるというのを聞いて納得。

全く真似することは難しいかもしれないが、その本質をとらえながら、自分の組織でもチャレンジしてみようと思う。


以下は気になった点のメモ:
-----
・アメーバ経営は、小集団独立採算により全員参加経営をおこない、
 全従業員がの力を結集していく経営管理システム

・京セラの経営理念
 「全従業員の物心両面の幸せを追求すると当時に、人類、社会の進歩発展に貢献すること」

・売上を最大に、経費を最小にすれば、その差である付加価値も最大になる

・アメーバ経営が目指す3つの目的
 1)市場に直結した部門別採算制度の確立
 2)経営者意識を持つ人材の育成
 3)全員参加経営の実現

・組織の細分化する条件
 1)明確な収入が存在し、かつ、その収入を得るために要した費用を算出できること
  つまり、リーダーがアメーバの収支が明確に把握できること
 2)最小単位の組織であるアメーバが、ビジネスとして完結する単位となること
  つまり、リーダーがアメーバを経営するのに、創意工夫をする余地があり、
  やりがいをもって事業ができること
 3)会社全体の目的、方針を遂行できるように分割すること
  つまり、組織を細分化することで、会社の目的や方針の遂行が阻害されないこと

・各アメーバは、共通の経営理念のもと、ひとつの会社の中で、ともに働く
 運営共同体の一員である。
 したがって、各アメーバリーダーは、自分の立場を明確に主張しながらも、
 エゴを捨て、会社全体の利益を考え、人間として正しい判断をすることが求められる

・アメーバ経営では、営業部門と製造部門がそれぞれ独立採算(プロフィットセンター)
 である
  製造部門=生産金額を収入として計上し、労務費以外の全支出を控除し差引売上を算出
       (営業部門にも口銭として一定率を支払う)
  営業部門=製造部門からの口銭を収入と、労務費以外の全支出を控除し差引収益を算出
  それぞれ、総時間で除して「時間あたり」を算出

・京セラの会計原則
 -一対一対応
 -ダブルチェック
 -完璧主義
 -筋肉質経営
 -採算向上
 -キャッシュベース
 -ガラス張り経営

・実績管理のポイント
 1)部門の役割にもとづく活動結果が採算表に正しく反映される
 2)公平・公正かつシンプルである
 3)ビジネスの流れを「実績」と「残高」でとらえる

・実績と残高は一連の流れ
  受注実績ー生産実績=製造受注残
  生産実績ー売上実績=在庫
  売上実績ー入金実績=売掛残

・売上金額=製造原価+営業口銭(=営業経費+差引収益)+差引売上
  -営業部門の収入は手数料ととらえる
  -製造部門内の各工程でのアメーバ間も社内売買
  -営業への手数料も各アメーバが公平に負担
  -購入品は購入時点で経費計上
  -アメーバの時間当たり採算が、平均労務費より低ければ赤字、上回っていれば黒字
  -生産管理などの共通時間も総時間に加える
  -他のアメーバを支援したら、その時間も他アメーバの総時間に加える

・値決めは経営

-----