本書はターンアラウンドマネージャという不振企業の再建を請け負う役割の仕事がどういうものなのかを俯瞰するのにわかりやすい。どのようなフレームワークで問題を構造化し布石を打つのか。どのようなアプローチで解決にあたるのか。
フレームワーク自体はシンプルであるが、その不振企業の実力を見極めながら打ち手を調整していくあたりにこそ本質があるのだろう。ここは経験なり人を見る力が重要であり、彼らを改革に向かわせる人間力と、それを組織の力として定着化させる仕組みづくりが腕の見せ所のようだ。
以下は気になった点のメモ:
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・ 課題解決ガバナンス=優れた企業になるための質の高い課題解決
・確実な利益成長のアプローチ=Shrink-to-Grow
・変革成功の4条件
-危機感⇒変革のWhy
=立場や部門の壁を超えて、「変わらなければならない」あるいは、「これを何とかしなければ」という変革意識
-目標・方向感⇒変革のWhat
=目指す姿などの抽象的な方向性や具体的な目標
-担い手⇒人に関するHow
=変革の牽引者としてのリーダーシップを取る人材あるいはグループ
-一貫した打ち手⇒打ち手のHow
=業績と体質の同時改善を実施することを視野に入れた、系統だった変革施策
・変革のリーダーとしての要件
- 体質改善に向けた打ち手のバランスとスピード感に対する理解
-「精緻な変革プログラム設計力」と「大胆かつ、一貫性のある実行力」
-高い目線
-人に対する意味ある忍耐力
-株主との緊張感のある協調・協力関係への理解・働きかけ
-「何とかする」前向きな姿勢
・ターンアラウンド・マネジャの役割
-変革の設計者=Architect
-変革の実行者=Executor
-翻訳者=Translator
-基準設定者=Standard Setter
・企業変革の診断
1)業務改善タスク=業績目標とそこに至るための改善レバーはいかなるものか?
2)変革のリーダーシップ=変革のリーダーシップ(グループ)の目線、能力、スタイル、制約条件はいかなるものか?
3)変革のエネルギー=変革を推進しうるエネルギーをどこに求め、どう使うか?
・設計すべき変革プログラム
1)変革マネジメント=変革成功の4条件をどう満たすか?
2)変革メカニズム=リーダーのスタイル、能力および、課題の性質を踏まえ、どんな構造・体制のイニシアティブとするか?
3)変革の具体策=業績と体質の改善に向け、具体的に何をいつ実施するか?
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