2010年9月11日土曜日

グローバル人材

船川淳志の新・グローバル人材養成講座」より

  1. あなたの会社の部長層で、BRICsやVISTA、新興国の現地法人を経営できる人材は何%いるでしょうか?
  2. あなたの会社の課長層で、海外のプロジェクトを任せられる人材は何%いるでしょうか?
  3. あなたの会社の担当者で、海外担当を任せられる人材は何%いるでしょうか?


現地側の関係者に「彼はどうでした?」と聞いたとき
“He (She) is OK.”という返事は「レベル1」。
声のトーンによっては not OKということも考慮すべきであるが、なんとか及第点という状態だ。

“He (She) is good.”と返ってきたら「レベル2」。
合格だ。

“He(She) is great!”が「レベル3」。
目指すべきは「レベル3」だ。


・即時対応言語最適化能力
中国語のようであるが、読んで字のごとく、自分の考えをその場で素早く言語化する能力だ。再三指摘したように、英語の環境では論理の明確さに加えてク イック・レスポンスが求められる。そして英語で日本語以上のパフォーマンスを挙げるのは無理があるから、日本語環境でも常に即時対応言語最適化能力を鍛えておく必要がある。これは「考えてから話す」のではなく「話しながら考える」訓練で鍛えることができるだろう。

・思考の瞬発力、集中力、持続力
そのためにも思考の瞬発力を高めておきたい。日本人は集中すれば成果を出すことが得意な人が多い。その集中力をどこまで持続できるかとともに、反応ス ピードをいかに高めることができるかが課題になるだろう。お勧めしたいのは、質問を受けてから2.1秒以内に答えを返すという「2.1秒ルール」だ。これは以前「3秒ルール」として紹介したものの改訂版で、人間の反射神経における平均的な反応速度が0.7秒といわれており、その3倍もあれば対応は可能だろうということで変更した。外国人との会議でぜひ実践してみてほしい。

・広い視野と高い視座
連載初回に述べたように、全球化というステージに入ったグローバルビジネス環境では、環境問題、エネルギー問題、南北問題というまさに地球規模的な問題を視野に入れておかなければならない。自分の専門外、業界以外のことまで目配りをしながら、社会への貢献を果たすリーダーが求められている。

・たゆまぬ知的好奇心
前号では、ドラッカーも指摘した「無知の元凶となる知的傲慢」について触れた。何歳になっても知的アンテナをひっこめることなく、むしろ年齢を重ねれば重ねるほどアンテナを高くする人でありたい。

・人間に対する深い洞察
グローバルビジネスも最後は人の問題にいきつく。国籍、言語、宗教、民族をはじめ多様性の高い環境のなかで、異文化への理解を深めながらお互いの共通項を発見し、学びあうことは必須条件だ。これは人間に対する興味、相手を理解しようという姿勢なくしては成し遂げられない。

・脱「どちらか一方」思考
どうも世の中には、「論理思考を高めると、感情で物事を受容することがなくなる」、「専門領域を深めれば、一般教養はなくてもいい」といった二項対立をもち込みたい人が多いようだ。極めつきは「グローバルに走る者は日本の良さを理解していない」などという見方。なぜ、日本人の誇りと良さをもちながら、世 界で活躍することができないと考えるのだろうか? この両立が不可能でないことは本誌の読者なら十分理解できるだろう。