2015年7月15日水曜日

「課長」から始める 社内政治の教科書



書生のように理想を声高に叫ぶだけでは何も成しえない。人が3人いれば政治は始まる。誰しも自分に有利な状況を作りたがり徒党を組む。大義があればこそ、それをどうやって実現するのか、そのための術をもつことは生き残る上では重要。それに失敗してしまった自分がここから再起できるか、改めて振り返ってみようと思う。



以下は、気になった点のメモ:
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・政治力=自分や相手の立場をうまく利用して巧みに物事を進めていく力

・社内政治=現実であり、課長にとって最重要の仕事であり、影響力のゲームである

・影響力=信頼関係、実績、専門知識によって生み出され、自己増殖性がある。

・社内政治の鉄則=味方を増やして敵を作らない。長期戦なので信頼を貯金した者が優位に立つ

・味方を増やすためには、あらゆる機会を捉えて「自分に対する重要感」を与えること。そのためには、相手の話に耳を傾け、気にかけているという姿勢を示す

・私心を大義に磨き上げる

・できるだけ議論を避け、相手が本人の意思で自分の意見に賛同するよう仕向ける。そのためには、相手の自尊心をくすぐり、優越感を与えつつ、気持ちよく話してもらい、準備していた論理に沿うように誘導していく

・社内の部門間の情報の壁から生じる情報格差を活かし、情報を掛け合わせて社内動向を察知する

・社内のパワーバランスを把握し、立場の弱い人を味方につけ、部下には安易に同調せず現実的対応をし、競わせながら、公平にえこひいきする

・部下の昇格は課長の最重要課題。1年前から準備をはじめ、人事権者へさりげなくPRする

・上司に対しては、好き嫌いを捨てプロに徹する。上司が求めていることを知り、全体最適の中での自組織の主張をし、上司の仕事のやり方に合わせる

・派閥とは等距離外交を心掛けて中立的立場をとる。そのためには、ビジネスマンとしての「誠実さ」を言動の基軸に据える

・政治に勝とうが負けようが人生においては大した問題ではない。何を成し遂げたいと思っているのか?どのような生き方をしたいのか?その「思い」が本物であるかどうかが大事
 

2015年1月24日土曜日

孫の二乗の法則



ソフトバンクの孫正義氏の経営哲学を解説している本。ソフトバンクアカデミアの開校特別講義の文字起こしを偶然見つけ、この25文字の存在を知る。
氏が19歳のときに立てた「人生50年計画」、それを実現するために自身の行動指針として定めたもののようだ。そして尊敬する5人の偉人、孫武、二宮尊徳、織田信長、坂本竜馬、渋沢栄一、彼らの思想、哲学、実践行動指針が組み込まれているとのこと。

この25文字を、氏が立身出世していくストーリーと合わせて解説していくので、その意味するところを納得できる。

興味深かったのは、経営管理手法としての「チーム制」と「日次決算」の組み合わせ。それぞれ10人ずつのチームに分け仮想企業として独立採算とし、事業が拡大するとどんどん分割されるし、業績が悪ければ倒産もする。データをグラフで可視化し経営管理する。「超計器飛行」を実践している。これはアメーバ経営に似ているなと感じた。

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■孫の二乗の兵法
道天地商法
頂情略七闘
一流攻守群
知信仁勇厳
風林火山海

(理念)
道 まず志を立てよ
天 天の時を知れ
地 地の利を得よ
将 優れた部下を集めよ
法 継続して勝つ仕組みをつくれ

(ビジョン)
頂 ビジョンを鮮明に思い描け
情 情報を可能な限り集めよ
略 戦略を死ぬほど考え抜け
七 7割の勝算を見極めよ
闘 自ら闘って事を成せ

(戦略)
一 一番に徹底的にこだわれ
流 時流に乗れ、逆らうな
攻 あらゆる攻撃力を鍛えよ
守 あらゆるリスクに備えよ(キャッシュフローの確保)
群 単一ブランド・ビジネスで勝負するな

(将の心得)
智 知的能力を高いレベルでバランスよく磨け
信 信頼に値する人物であれ
仁 人々の幸せのために働け
勇 闘う勇気と退く勇気を併せ持て
厳 時として愛する部下にも鬼となれ

(戦術)
風 動くときは風のように速く
林 重要な交渉は極秘で進めよ
火 攻めるときは火のように激しく
山 ピンチに陥ってもブレるな
海 戦いに勝ったら相手を包み込め

■人生50年計画
20代で、自ら選択する業界に名乗りを上げ、会社を起こす
30代で、軍資金を貯める。軍資金の単位は、最低1000億円
40代で、何かひと勝負する。1兆円、2兆円と数える規模の勝負をする
50代で、事業をある程度完成させる
60代で、次の世代に事業を継承する

■新事業を絞り込む9つの条件
1)事業はいったん手掛けると途中でやめるわけには行かない。ゆえに継続しうる事業であること
2)当然、儲かる商売・事業であること
3)伸びる産業分野であること。産業の構造そのものが不況、斜陽になる業種であってはいけない
4)将来、企業グループをつくることを前提とし、その核となり得る事業であること
5)人が真似できない事業であること
6)大きな資本投下を必要としない事業であること
7)世の中の役に立つ事業、社会の発展に貢献できる事業であること
8)自分が面白く取り組める事業であること
9)やる以上、その分野で絶対に一番の企業になること。一番にならないのなら、それに手を付けない

■交渉の5つの極意
1)自分自身を100%説得する
2)相手に尽くしてあげたいと本当に自分自身が心底から思う
3)思わず惹きつけられる殺し文句を、タイミングよく情熱をもって相手に吐く
4)外国人を相手に英語でケンカできるくらい抜群のコミュニケーション能力をもつ
5)粘っこくしつこく、相手が落ちるまであきらめずに口説き続ける


2015年1月21日水曜日

部下を持ったら必ず読む 「任せ方」の教科書「プレーイング・マネージャー」になってはいけない



本書のポイントはP.28に記された、以下の箇所に凝縮されている。

「任せる」しくみをつくると、どうして会社が強くなるのか?
その理由は、おもに3つあると私は考えています。

1)経営と業務執行の分離が実現する
2)タイバーシティ(多様性)への認識が高まる
3)グローバル経済の変化に対応できる

自分が全知全能の神ではないと認識して、自分の役割と他のメンバの力を借りるところを明確にし、任せる際には、どこまでの範囲なのかを明確に示す。また作業をさせるのではなく、その権限範囲内であれば自ら主体的に判断させる。それが自分の考えを相反しないように、最初に目的・背景、優先順位、報告のタイミング等も決めておくのがポイント。最終的に自分が問答無用で結果責任を負うのだと認識すれば、おのずと丸投げせず、よい任せ方の塩梅も分かってくると言う。また、この「任せる」ことは部下の育成にもつながっているとも。