2006年1月19日木曜日

39歳までに組織のリーダーになる

目から鱗が落ちるような内容はなかったが、項目ごとにまとまっており、頭に入りやすい。著者のイメージするリーダー像は、
 ・自律し、前向きで、向上心を持ち、チャレンジ精神旺盛
 ・段取り力に優れ、周囲のモチベーションアップがうまい
 ・生活者視点を常に持ち、戦略・利益におぼれない
といった感じだろうか。

興味深かった内容もいくつかあった。

[スーパーボトルネック人材]
上司が該当するかどうかを見極めるポイント
・社員ができるだけ目立たないように行動するようになる(自発的に行動しない)
・失敗を恐れる(リスクをとらないようになる)
・長時間労働が蔓延する
・社員間の信頼関係が希薄する(コミュニケーション・エラーが続出する)
・業績が伸び悩む
・トップ(スーパー・ボトルネック人材の味方)がイライラしている

そんな上司の口癖
・当社の組織が物事の進み方が遅い
・言われたことしかやらない社員ばかりだ
・ウチの社員は能力がない

[社内に潜む6つの集団]
・リーダー
  周囲に影響を与え、組織を動かし、結果を出す
・参謀
  リーダーに冷静にリスクをアドバイスできる
・フォロワー
  リーダーの影響を受けてきちんと働く
・パラサイト
  組織にぶらさがっている
・キャンサー
  組織に悪影響をもたらす
・エイリアン
  異端だが潜在力が高い

[キャンサーの典型的な行動パターン]
・批評家
  会議の席上もっともらしく反対意見を述べるが、建設的な代案は出さない
・他責の人
  毎回失敗の理由を自分以外のところに求め、反省しない


自分の視点・姿勢がそんなに大きく外れていないことが確認できたという点で有意義だった。
また、やはり英語でのコミュニケーションや健康管理が土台になるということも確認できた。






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以下は気になった点のメモ

●デキるリーダーに共通する10の「強み」
1.鳥瞰力
  大空から見下ろすように物事の全体を見る
2.未来志向性
  物事をどんどん進め、くよくよしない
3.抽象力
  「たとえ話」で本質をつかむ
4.論理的思考
  論理的に本質をつかむ
5.強力な志向性
  「なんとかしたい!」という強い気持ちがある
6.誠実さ
  こだわりを持っている
7.演繹的思考と帰納的思考
  ゴールから考える
8.素早い回復力
  メゲない
9.感受性を伴ったイマジネーション力
  目配り・気配り
10.組織稼働力
  組織の遠心力を効かす


●真のリーダーの仕事術
1.段取りに気を遣う
  鳥瞰力を働かせ、仕事の優先順位を把握し、細かいコミュニケーション
2.時間配分の3つの秘訣
  時間のスケジュール化、集中できる時間の確保、懸案事項の洗い出し
3.すべての会議を意味あるものにする
  会議の性質と結論を明らかにする、ファシリテーターの活用、議論の取り纏めと指示
4.相手に気持ちよく話をさせる
  リラックスした雰囲気で、相手の話を傾聴し、考えを引き出す
5.伝わるプレゼンテーションをする
  なぜ問題が起きているのか、放置するとどうなるのか、手を打つとどんな効果が生まれるのか
6.プロジェクトを回す
  プロジェクトの質=「投入する資源」×「投入する時間」
  目的とゴールをメンバ全員と共有
  進捗管理を行い、必要ならば臨機応変に計画を修正
7.「腑に落ちない要求」をこなす
  気持ちを落ち着けて、要求者の背景を考える
8.既成概念の箱を壊す
  意識して顧客側に視点を置き続け、自由な発想を心がける
9.擬似経験力を活用する
  鳥瞰力と感受性を働かせ、専門外の知識を自分が知っている領域の知識に置き換えて理解する
10.誉める!誉める!
11.叱り、フォローする
12.スタッフと時間を共有する


●デキるリーダー候補が道を踏み外す原因
1.わかってくれない症候群
2.アドミ」を軽んずる
3.無意識のマンエリという毒素
4.人を見る目を曇らせていないか?
5.片手間仕事を持ちすぎる
6.経済合理性の罠
7.お金じゃなかったはず
8.「1対多」のコミュニケーションのおごり
9.悪意なきハラスメント
10.スーパー・ボトルネック人材になっていないか?


●リーダーとして活躍し続けるために
1.向上心を忘れていないか?
2.現場の熱情を忘れていないか?
3.優先順位のすり合わせを行っているか?
4.裸の王様になっていないか?
5.周囲のワーク&ライフ・バランスを考えているか?
6.ポリティクスに惑わされていないか?
7.人と人をつないでいるか?
8.社内に潜む6つの集団を意識しているか?
9.遊び心を忘れてはいないか?
10.後継者を育成しているか?
11.戦略におぼれていないか?
12.ダメ集団にもチャンスを与えているか?
13.「第一印象」を意識しているか?


●10年後もリーダーとして活躍しているために
1.プロフェッショナルである
2.センスを磨く
3.国境のない社会をホームグラウンドにする
4.いざというとき、素早くビジネスをリカバリーさせる
5.発想の泉を枯らさない

2005年11月17日木曜日

上司が「鬼」とならねば組織は動かず

リーダーシップのあり方は、これが唯一絶対ではないが、上司としての心構えは賛同できる。部下の育成と仕事の成功に真摯に向かう姿勢を「鬼」と表しているようだ。もちろん、ただ厳しくするのではない。その根底に持つべき思想を説いている。日本が戦後、間違った個人主義を植え付けてことに、強い憤りを感じているようだ。



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以下は、気になった点のメモ

・スポーツ界での指導常識は天才を育てる手法
  短期間で専門能力を突出させるためには、他の欠点など構っていられない
  能力を最大限に伸ばすには、凶暴な性格だろうが礼儀知らずだろうが、気分良く高い意欲で練習に打ち込ませなければならない
  調子が悪くても自分で考えて復調しなければならず、思考力、判断力を伸ばすため、質問により考える習慣・能力をつけさせる

・仏の上司(やさしい、ものわかりのいい)の正体は
  自己の任務に真剣でない人
  部下の指導育成を放棄している人
  部下に無関心な自己中心の人
  単なる怠け者
 である。

・「強制」で潰れるような個性は何の役にも立たない。
 個性は従う、守るという基本の上に花開くものだ。
 こうした基本ができない奇人、変人、異端児を集めて好き勝手をさせれば会社はすぐ潰れる。

・任せるとは
  失敗まで任せること(上司は責任をとる)
  忍耐すること(拙劣さに目をつぶり、口出ししたい気持ちを抑える)
  信じること(暴走しない限り、支持し、応援する)

・統率の根幹は命令と強制である
 統率力のある人とは、命令せず、強制せずに、命令と強制を行う人である
 (人は理解、納得、信頼、尊敬がある時、喜んで動く)

・会社に対する深い愛情、経営に対する真剣な姿勢、困難に立ち向かう強い精神
 知識、共用、人間性など全ての力を出して、部下のココロを掴む

・上司の基本
  命令者である(命令によって部下を動かせ)
  評価者である(部下の仕事を正当に評価せよ)
  教育者である(模範を示し、部下ができるまで繰り返し教えよ)

・個人主義は本来、義務と責任を伴う
 (我慢、恥、協調を身に付けよ)

・会社の規模によって求められる上司は異なる
  小さい会社(5-10人規模)=仲間(親しまれる指導者)
  中の会社(50-100人規模)=信頼(怖がられる指導者)
  大きい会社(100人以上) =理解(孤独にして崇拝される指導者)

・社長の代行ができる人材
  経験を活かす
  仕事の細部に注意を払う
  隠さず報告する
  疑問を提出する
  社長以上に厳しい考え方をする

・社長にしてはならないのは
  人を尊敬できない人
  祖先や親を否定する人
  戦意のない人
  足元に目がいかない人
  平等意識が強い人

・会社は社員に、お金以外の動機を与える責任がある
  達成感、かつ誇り、楽しみ、面白みは疲れをとばす
  自分を認めている上司、わかりあえる仲間が職場規律をもたらす
  厳しい仕事が逃げ脱落するのは本人の心のあり方が問題
  金のためという動機だけで働くと、まず心が病み、体を動かなくしてしまう

・会社の目的は利益の追求ではない
  利益追求のためなら手段を問わず、何をしてもいいという考え方は間違い
  利益の追求は会社が人を育てる手段(経営も仕事も人を育てる手段)
  お金は会社と人の成長度を示す単なる目盛りにすぎない

・会社の常識
  会社にはビジョンと経営理念がある
  会社は全体がひとつの意志に統一された時、強い力を発揮する
  会社は利益を配分する(利益に一番貢献しているのは社員だから優先的に配分)
  会社は己の生存と名誉(信用)を第一とする
  会社は仕事ができる人を優遇し、できない人は冷遇する
  会社は命令報告のルールで動く騎馬民族型の組織である
  会社の中には人の上下関係があり、上と下では与えられる権限の大きさが違う
  会社は意欲のある人、会社に対する忠誠心がある人を歓迎する
  人は仕事によって成長する
  会社は人間教育の場である

2005年10月12日水曜日

取締役になれる人、部課長で終わる人

かなりストレートで刺激的なタイトルである。数多くの経営者から取締役に必要な資質、心構えなどを取材し、まとめている。特にタイトルどおり、中間管理職との違いを鮮明にしようとする文体はわかりやすかった。



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以下は気になった点のメモ

・経営感覚を持て、経営者として考え行動しろ、といい「全員経営」を標榜する企業もあるが、部下もいなければカネもなくはたまた権限もない社員が「経営者」だと言われてもそれは絵に描いた餅のようなものだ。

・サラリーマンは上に行けば行くほど、組織を使って大きな仕事ができる。平より課長、課長より部長、部長より取締役、平取締役より常務や専務、そして社長という具合に、上に行けば行くほど権限が大きくなり、自分の意思でできる仕事の規模、内容もグレードアップする。従って仕事を達成したときの喜びも大きく なる。

・組織というのは高層ビルと同じ。上に行けば行くほど見える範囲が広がって最上階では富士山までよく見える。視野が広がれば、そのぶん大きな仕事もしたくなる。

・取締役の分類
 1.将来、社長になり得る人
 2.社長にはなれなくとも、会長、社長を補佐し、経営の一翼を担える人
 3.それまでの功績に報いる「論功行賞」型の人

・どうせ仕事をするなら大きなことをしたい。そのためにはトップに立つしかない。

・肩書だけを欲しがるから、平気で他人を蹴落としたりする。そして肩書を得た後は責任を逃れることが目的になってしまう。

・取締役になろうと思えば「30歳代」が本格的なスタートライン。30代でいい評価を受けなかったものが40代になっていい評価を受けるはずがない。

・”実績”という肩書をつくりなさい。

・新しい仕事を生み出してこそ評価される。日々の仕事の中で、つねに「自分はこうしたい」「将来こうありたい」という夢をもち、新しいことを始めることが大事

・いくら優秀でも、全体を考えずに自分勝手に走っては決して勝てない。時には敢えて脇役に徹する判断が必要だ。

・運というものは、使えば使うほど増えていく。

・悪い上司をあげつらう前に、自分自身が悪い部下になっていないか、よく考え直してみる必要があるだろう。

・目上への態度には気をつけなさい。知に溺れてはダメだ。常に上司への敬意を忘れてはいけない。どこか傲慢な気持ちが表れては、よい関係は望めない。

・心から仕事の達成を願うなら、むしろ上司に手柄を譲るくらいでいい。みんな誰の手柄かわかっているし、本来、仕事の目的は手柄ではない。自分の能力をフルに示せた達成感があれば十分ではないか。

・自分の手柄をアピールしたがる人間は、横取りする上司と同じレベル。鼻持ちならないイヤなヤツになって、人の信頼を得られません。いざというとき誰も助けてくれないでしょう。

・上司の操縦法
 1.上司が自慢に思っていることは褒める
 2.上司が行動を躊躇っているときには大義名分を与えて自信を持たせる
 3.上司がやりたくないことをやらずに気にしているときには「やりたくないこと」が間違っていることを指摘してやる
 4.自分に自信を持っている上司に対して、その能力にケチをつけてはいけない
 5.諫言するときはそれが上司の利益にならないということをほのめかし、直接やめろといってはいけない。
 6.自分の能力に自信を持っている上司に進言するときは、別の話を持ち出してそれとなく知恵をつける

・上司ひとりをうまく操縦できないで、どうして多くの部下たちを動かすことができるのだろうか。

・何かのとき、失敗を恐れて手を挙げないようではダメだ。

・何もやらなければ何も生み出さずマンネリ化して、そんな社員は実力もつかない。

・最も困るのは、その仕事がなぜできないかだけは見事に理屈づけて説明するようなタイプ。

・カルロスゴーンのリーダーの条件
 1.戦略マインド
 2.業績主義
 3.透明性

・町田勝彦(シャープ社長)の3つの条件
 1.予見力
 2.構想力
 3.実行力

・高原慶一郎(ユにチャーム社長)の挙げる条件
 1.目標思考力(ビジョンを持つ)
 2.方法発見力(戦略・戦術)
 3.組織能力
 4.伝達能力
 5.動機付け能力
 6.育成能力
 7.自己革新能力

・五十嵐勇二(マルハ社長)の挙げる条件
 1.問題意識を持てる人間
 2.創意工夫のできる人間
 3.意欲的に取り組む人間

そして、常に前向きでアグレッシブに、逆境もバネにし、日ごろから勉強を怠らない人間であることを後半では様々な事例を挙げ述べている。